年一発目の観劇となった「風博士」。
チケットがなかなか取れず苦戦しましたが、何とかとれました!!!

新年初の観劇が最大手の推しである林遣都くんが登場する舞台だったので、新年早々テンションMAX!幸せMAX!!でした。
ありがとう、世界!!!
ある大陸で起きた、とある戦争を背景に、フーさんが経営する、遊廓を舞台に幕が上がります。
普段は見えないけれど、世界のどこかでは今でも起きている戦争。
どんどん戦争の足音が身近なところでも聞こえてくるのではと、危機感を感じずにはいられない現代。
そんな時代だからこそ観てほしい、反戦を目的に創られていないにも関わらず、戦争と平和を考えずにはいられない本舞台は、今を生きる人すべてに見てもらいたい舞台です。
では、ここからは、私が体験した「風博士」のお話を少し語らせていただきます。
追加情報 TV放映が決定!
WOWWOWライブにて3/21(土)19:00より放送されます。
『日本文学シアター「#風博士」中井貴一×段田安則×吉田羊』
3/21(土)よる7:00⇒https://t.co/CBUJf9t3Hg#中井貴一、#段田安則、#吉田羊、#趣里、#林遣都、#渡辺えり らが出演✨
坂口安吾へのリスペクトから書かれた北村想の新作!
過酷な時代を生き抜く純粋な魂に胸打たれる感動作😢#WOWOW pic.twitter.com/CvAfgUZWvM— WOWOWステージ (@wowow_stage) March 7, 2020
関連情報 舞台「風博士」のパンフレットが欲しい方へ
1月中旬に発表がありましたが、風博士のパンフレットを通販で買うことができます。
在庫限りになりますので、どうしても欲しい方はお問い合わせください。
【『風博士』パンフレット通販開始】在庫終了次第、受付を締め切ります。お早目にお申込みください。申し込み方法はコチラから⇒⇒⇒ https://t.co/6EhpNVPOsU pic.twitter.com/n5QkZz6vSX
— シス・カンパニー舞台制作 (@sis_japan) January 19, 2020
以下ネタバレも含んだ観劇レポートになります。
まっさらな状態で観たい場合は、WOWWOWライブで観てから、レポートを読まれることをおすすめします。
「風博士」 観劇レポートと感想(大阪)※一部ネタバレあり
大阪森ノ宮駅近くの「森ノ宮ピロティホール」にて上演されました。
私が行ったのは大阪の最終公演で、舞台全体としても大千秋楽日でした。
入口には、大きな幕が張られていましたよ。
13:00からの開場でしたが、10:30頃には会場近くまで行きました。
お隣が「もりのみやキューズモールBASE」があったので、お買い物とのんびりお一人様ランチをしてから劇場に入りしました。
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劇場内のお手洗い事情
劇場内のお手洗いは意外と沢山あります。様子を見て男子トイレも開放してくださり、係りの方も誘導してくれますのでスムーズです。
ただし、幕は定刻に上がります。
可能であれば、会場に少し早めに入って済ませるか、キューズモール内でランチやお買い物をして、お手洗いを済ませてから会場入りする方がハラハラせずおすすめです。
ちなみに、森ノ宮ピロティホールにはクロークがありません。
足元に荷物を置かなければいけないので、遠征やお買い物などで荷物が多い場合は、森ノ宮駅やキューズモール内のコインロッカーを利用しましょう。
- 大阪メトロ 森ノ宮駅 西改札きっぷ売り場付近
(森ノ宮ピロティホールのある2番出口も近い) - もりのみやキューズモールBASE2F キューズキッチン付近
舞台「風博士」 当日券について
当日券の列に並んでいた方もいたので、若干当日券があった模様です。
事前に専用ダイヤルに電話して整理券を取ってから、当日並ぶというルールだったようです。
【『風博士』大阪公演当日券販売方法が決定!】大阪公演の当日券販売方法は、コチラでご確認ください。➡➡https://t.co/C7TdpuN4yW 大阪の皆さん、お待ちしています! pic.twitter.com/fSeMvPR34p
— シス・カンパニー舞台制作 (@sis_japan) December 13, 2019
舞台「風博士」の感想
戦争でいつも犠牲になるのは、その戦争をはじめた「偉い人」ではなく、真実を知らされることのない立場上弱いところに組される者たちだ。
戦争をはじめた「偉い人」たちは私利私欲に溺れ、逃げ足も早い。
残した者たちをただの一瞬も振り返ることすらない。
見せ方によっては反戦色の濃い舞台になるにもかかわらず、この舞台は軽やかにコミカルに、そして時々ほろり、中井貴一さん演じるフーさんのように、からっ風を吹かせながら、飄々と、戦争の残酷さや卑劣さ、理不尽さ、虚しさを観客に見せてくれます。
まるで舞台そのものがフーさんのようでした。
反戦舞台ではないけれど、戦争のなくならない世の中だからこそ、軽やかに多くを伝えてくれるこの舞台、沢山の人に観てほしいと思いました。
ノスタルジックな舞台演出
幕が上がると、中井貴一さん演じるフーさんの口ずさむような歌からはじまります。
曲調は、ザ・昭和な歌謡曲な感じでした。
この舞台の面白いところは、ミュージカルではありませんが、ところどころ、役の心情を表現するために歌唱が入ります。
手書きのような売春宿の舞台セットもなんとも味があり、舞台の両脇にある幕に字幕が映し出されるのが、古い映画館で映画を観ているようなノスタルジックな雰囲気もありました。
私はこの口ずさむように歌うシーンで、中井貴一さんの魅力に釘付けに。
ベテラン俳優陣によるアドリブが重いテーマにも笑いを
演者たちは手練れたちばかりで、段田安則さん、吉田羊さん、渡辺えりさんの、表現力、歌唱力、生のその場のやりとりを楽しむように自然と入るアドリブ。
湿っぽい空気が流れてもおかしくない舞台背景にもかかわらず、爆笑が何度も起こります。
中でも、段田さんの見えない馬のネタ、羊さん演じる鶯姉さんからの無茶ぶりからはじまった二等兵のお二人による巌流島兄弟のネタは爆笑必至!!!
趣里ちゃんとえりさんが鍋を頭にかぶるシーンでは、「かっぱと狸か!なんか見覚えある感じがするな」(セリフは正確ではありませんが、そういう雰囲気のことを言ってました)と中井貴一さんが(とあるCMネタを)ポロリと入れているのにプププとなりました。
アドリブをはじめとした笑うシーンが入ることで、どんなに苦しくつらい局面でも、笑い飛ばして乗り切っていく人間の強さを感じました。
歌唱で役の持っている奥底にある想いを表現
歌唱シーンはジーンと胸に迫ってくるものばかりでした。
梅花こと渡辺えりさんの歌唱シーンは、まるでオペラ歌手のようにのびやかで迫力満点。
戦争という場で女性がいいように使われ捨てられていく理不尽さを、それでも負けずに強く生きていこうというたくましさを、切なくものびやかに表現されていました。
フーさん(中井貴一さん)と鶯(吉田羊さん)のデュエットシーンや鶯の独唱は、ほんとうに切なくて切なくて涙がはらはらと流れてきました。
とある理由から(物語の核心となる部分のネタばれになるので、ここでは書きませんが)フーさんと一緒に生きたいと思うが生きられない鶯の切なさ、沢山の理不尽の上に積みあがる死への想いが胸に迫ります。
のびやかで美しい歌声、艶のある佇まい。
色っぽくて母性にもあふれ、切なくて胸がひりひり、でも何度も聞きたくなる歌声でした。
そして、ホイチこと林遣都くんのフレッシュな歌声。
他の共演者に比べたら、決して上手いとは言えませんが、一生懸命に心を込めて歌唱していましたし、そこが19歳の新兵らしかったです。
何より、何も知らない新兵のホイチが「シサン シサン イチ ニ サン」と歌いながら、敵に降伏を伝えようと歌い、その後敵の銃弾に倒れるシーンに、戦争の無常さと憤りを感じずにはいられませんでした。
そして、透明で純粋な若者の最後の命のきらめきを感じ、私はここで涙腺崩壊、大号泣でした。
歌唱の中で私が一番好きだったのは、フーさんとサチ子のデュエット「情操教育」という歌です。
この歌にこの舞台で伝えたいことが詰まっていると感じました。
善悪、愛憎、生死…すべて表裏一体。
片方だけを押し通そうとするから、憎みあうことになる。
どんなに美しい正義であっても、その裏には悲しむ人がいて、憎しみが連鎖する。
自分の正しさを振りかざすのではなく、その裏にある、相手にとっての正義をも知ろうとすることが、愛することには必要なのだと教えられました。

あぁ…円盤(DVD)が欲しい…せめて歌唱部分のCDが欲しい…
解釈が分かれるラストシーン
敵の銃弾に倒れたはずのホイチ、がれきの下敷きになって亡くなったはずの梅花も登場し、みんなでバイクに乗って新なる出発をするシーンで幕を閉じます。
この部分の解釈は人によって分かれますが、私はみんなすでに亡くなっていて、何の苦しみも戦争ももうない、「あの世」で自由気ままに風まかせな旅へとカラりとした風になって旅立っていったのではないかと思っています。
別解釈として、生き残った人たちが亡くなった人たちの魂もつれて、終戦を迎えた大陸を縦断しているという見方もできるかもしれません。
ただ、星のない真っ暗な夜に、ホイチの星だけが輝きみんなの前に現れるシーンがあるので、亡くなったみんなを迎えに来たのかな?と思いました。
あいまいなエンディングではあるんですが、多幸感を感じるシーンに、理屈じゃない気持ちの部分は妙に納得していて、不思議と幸せな気持ちが胸いっぱいに広がったところで幕が居りました。
大千秋楽ならではの特別なカーテンコール
この大阪公演の特筆すべき点は、最後のカーテンコールに違いないかと思います。
普通、カーテンコールは出演者が出てきてお辞儀をするのみなのですが、今回のカーテンコールでは、大千秋楽ということもあってか、座長の中井貴一さんが自ら感謝の意を言葉で話されました。
そして、座長・中井貴一さんの粋な計らいで、(おそらく、林遣都ファンが沢山来ていることを承知くださっており、お気遣いくださったようで)「林遣都からもひとこと」と遣都くんに振ってくださいました!!!

中井貴一さん…ありがとうございます!!!
林遣都ファン一同が、座長の懐の大きさとお気遣いに、感謝し感動いたしました。
遣都くんはひとこと「ありがとうございました」と言っていました(感涙)
もうちょっと話しそうだったんですが、そこは遣都くん、スピーディーには言葉は出てこないので仕方ない (笑)

そんな不器用な貴方だからこそ、大好きだ!!!
これからも、心より応援申し上げます。
俳優オタ的目線での舞台「風博士」の感想
私の最大手の推し、林遣都くんを観るためにこの舞台のチケットをとりましたが、最初の中井貴一さんの歌唱で、その哀愁とその裏に潜む大人の色気を感じ、その魅力に引き込まれました。
中井貴一さん、コメディーおじさんじゃないやん!!!
(三谷幸喜作品の中井貴一さんを目にすることが多いので、コメディーイメージが私の中で定着しておりました)
大人の色気すげーーーー、風まかせなフーさんに、鶯姉さん同様、私もついていきます!ってなりました(笑)
そして、吉田羊さんの圧倒的な美しさ!
見た目、佇まい、声、どこを切り取っても、圧倒的な美!!!
羊さんが歌うと、羊さん以外の時が止まって見えるほど、圧倒的な美しさ。
渡辺えりさんの歌声は極上でして、オペラを聞きに来たのかと思うほど(生のオペラ聞いたことないから知らんけども)、声量、声のハリとのびやかさにうっとりでした。
素人の感想ですが、一番上手いと思いました。
そして、我が推し遣都くん。
出てきた瞬間から、若い!ほんまに19歳や!!!となりました。

なにより、程よく鍛えられた肉体美…初々しさを感じる前髪…
あぁ、かわいい、可愛すぎるホイチ。
最初に歌いだすときは、親戚のおばちゃんよろしく、固唾をのみ見守る私(笑)
亡くなった後、すっと魂だけになるシーンでは、あまりに自然に「すっと」立ち上がるので、紐で吊られているのかと思ったくらいです。
「風博士」公演情報とあらすじ
ここからは、今回レポートした公演の上演時間・キャスト・原作の情報などをご紹介。
「風博士」大阪公演の日時
1月8日(水)~1月13日(月・祝)
13:00会場/13:30開演
18:00会場/18:30開演
開場:森ノ宮ピロティホール
「風博士」上演時間
上演時間は、幕間なしの1時間50分と短め。
グッと集中していたので、あっという間でした。
「風博士」キャスト、原作、演出
作 北村想
演出 寺十吾
音楽 坂本弘道
出演 中井貴一 :フーさん
段田安則 :広瀬大尉
吉田羊 :鶯
渡辺えり :梅花
趣里 :サチ子
林遣都 :スガシマ兵卒(ホイチ)
松澤一之 :堂島曹長
内藤裕志 :佐々木(二等兵)
大久保祥太郎:宮本(二等兵)
「風博士」の原作について
坂口安吾の作品の中に、本舞台と同名の小説「風博士」があるが、この小説「風博士」と舞台「風博士」は全く別のお話です。

ただし、フーさんの種となる人物は、この小説「風博士」に出てくる風博士なのかもしれません。
本舞台は、坂口安吾の小説「白痴」と、岡本喜八監督の戦争映画「血と骨」をベースに、オリジナルの作品を創られたそうです。
関連ページ 青空文庫「白痴」
「風博士」 あらすじ(ネタバレあり)
ある大陸で起きた、とある戦争で敗戦ムードが漂ってきたころのこと。
大陸で軍人向けの娼館を営んでいる主人フーさん(元は風船爆弾を研究する科学者だったらしい)のもとに、サチ子という少女を預かってほしいと広瀬大尉が連れてくるところから物語は始まる。
サチ子は爆撃によって目の前で家族を亡くし、ショックで「頭のねじ」が飛んでしまっておかしくなってしまっていました。
そんなサチ子を、主人のフーさん、フーさんの追っかけをしている鶯(もともと新橋の芸者だったらしい)、恰幅よく懐の広い女性営業社員を自称する梅花は、サチ子を優しく迎え入れる。
サチ子が来た夜、娼館で遊んでいた堂島曹長を迎えに来た新兵のホイチ。
ある事件をきっかけに、居合わせたサチ子と心を通わせるようになる。
戦火の中でもささやかな幸せや夢を大切にしながら生きている者たちにも、敗戦の波が押し寄せ、いよいよ娼館周辺も危険な場所に。
みんなで最後の空襲を乗り切り、大陸から本土へ帰還しようと奮闘するが…
理不尽な戦争の残り火の中で、力強く生き抜こうとする人たちの強さと、戦争の理不尽さを描いた舞台です。